入院中、気づいたことをぽつぽつと日記に書いていました。
今回はその中から、「病院の仕組みって、意外とよくできてるな」と思ったことや、「え、これってどういう意味?」と不思議に思ったことなどを、ひとつの記事にまとめてみます。
ちょっとした観察記録のような内容ですが、よければ読んでいってください。
医者は経営者、看護師さんは超優秀な社員?
看護師さんはテキパキしていて、無駄のない動きをしていた。
採血にバイタルチェック、介護の必要な方へのフォロー。
いったいこの人たちは、一日何万歩、歩いているんだろう?と思うほど、病室とナースステーションを何往復もしている。しかも小走りで。
そんな看護師さんとは対照的に、必要な時に一瞬やってきて、検査結果の説明や、これからの治療方針を説明して、サッと去っていく主治医の先生を見ていて、病院って、まるで会社みたいだと思った。
的確な指示を出し、必要な情報を瞬時に読み取って、冷静に判断する医師たち。
理性的で感情には流されないけれど、必要な時には患者にもきちんと寄り添ってくれる。
まるで、優秀な経営者のよう。
そしてその指示を受けてテキパキと動く看護師さんたち。
本当にプロフェッショナル。
まあ、たまにはそうじゃない人もいるけど(笑)。
組織とは、どこもそんなものだ。
病室の場所にはちゃんと理由があった
入院して最初の4日間、病室には私ひとりしかいなかった。
4人部屋だけど、実質個室。
場所は、ナースステーションから1番遠い部屋。
ナースステーションの近くにある4人部屋は、満室だったのに、私の病室は1人。
満室の病室の廊下側の人を、私の部屋の窓側に移してあげればいいのに…
なんでそうしないんだろう?と思っていた。
しばらく過ごしているうちに、その理由がなんとなくわかってきた。
ナースステーションに近い病室には、介護が必要な人や車椅子の方、数日だけの短期入院の方が多く、
私のように2週間以上の長期入院になりそうで、1人で動ける人は、遠くの部屋に配置される傾向があるようだ。
そりゃそうか。
介護が必要な人が遠くの病室だと、看護師さんが大変過ぎる。
合理的に病室が分けられてるんだな。
同病者は…なんとなくわかる
同じような病気の人は、ちょっと見ればなんとなく分かる。
見た目は元気だけど、手首には入院の印「バーコード付きリストバンド」がついている。
見た目は元気で歩き回っている人とは、病院内のコンビニや売店でよく会ったりする。
一瞬目が合って「おっ、たぶん同病者…?」ってお互い分かりあって、でも何も言わない、みたいな場面も度々ある。
心の中で「お互い、無理せず頑張って治しましょうね」と挨拶をしてみたりする。
男女別にしてくれることのありがたさと、ちょっとした不安
入院して驚いたのは、こんなに患者さんが多いのに、きちんと男女で病室を分けてくれていること。
個人的には、「混ざってもいいんじゃない?」と思う年齢の方も多かったけれど(私も含め)、
若い女性も入院していたりするので、配慮されていることがありがたいと思う。
ただ、シャワー室は男女共用で、30分の予約制。
予約システムがうまく理解できていない方もいて、私が予約していた時間におじいちゃんが入っていたことも…。
勘弁してよー…と正直思った。
病院という性質上、中から鍵がかけられないので、若い女性だったら、これは本当に怖いと思う。
ジェンダーや設備の問題は一筋縄ではいかないけれど、できればここだけは、男女で分けてくれたら…と切に願う。
「女性であること」を最後まで大切にできるか
介護施設では、男女の区別があまりされないという話も耳にする。
病院も、もしかしたらそういう面があるのかもしれない。
「恥ずかしい」という感情が、どこかで我慢するものになっていくのか、
それとも年齢とともに薄れていくのか、認知の変化で気づかなくなるのか…
「女性」「男性」であることを、どこまで自分の中で持ち続けられるのだろう。
そんなことを、ぼんやり考えたりもする。
病室の“推理ゲーム”
入院生活が長くなると、ちょっとした暇つぶしを見つけたくなる。
そのひとつが「推理ゲーム」。
カーテン越しに聞こえる医師や看護師との会話。
「MRI」「カテーテル」「検査」などのワードを拾って、
「これは…〇〇の病気かも」と勝手に予想。
あくまでひとりの脳内中の暇つぶしであって、人の病気を面白がっている訳ではないからね。
色んな病気があるんだな、と勉強になった。
手首のバーコードで、ちょっとだけ実験室気分
手首につけられるバーコード入りのリストバンド。
検査も、薬も、すべてこれで管理されるのは、本当にありがたい。
薬の間違いがあったら大変だからね。
でも時々、「これ、ちょっと実験動物っぽくない?」と思ったりする。
もちろん、文句を言いたいわけじゃない。
むしろ、感謝しかない。
こんなに清潔で、整っていて、
必要なケアをすぐに受けられる国に生まれたことは、本当に幸運だと思う。
入院生活は“優雅”だけど、私は申し訳なさでいっぱい
毎日掃除もしてもらえて、週に一度はシーツも交換してくれる。
食事も運んでもらえるし、入院生活はまるで、優雅なホテル生活のようだと感じることもあった。
でも
「食事くらいは自分で運べますし、後片付けもしますから……」
そんなふうに思ってしまう。
私の分の手間を、もっと大変な方のために使ってほしい。
どうしても申し訳なさでいっぱいになる。
だから私は、看護師さん、ヘルパーさん、清掃スタッフさんたちの負担を、ほんの少しでも減らしたくて、なるべく手をかけさせないように心がけた。
調べられることは自分で調べる。
トイレが汚れていたら、できる範囲で掃除をする。
洗面所が濡れていたら、手を拭いた後のペーパーでサッと拭く。
そのペーパーは小さく丸めて捨てる。
ペットボトルは潰してからゴミ箱へ。
歯磨きのあとは、きちんと流して、鏡もサッとひと拭き。
誰かにやってもらうこと、頼ることがどうしても苦手で、
「申し訳ない」が先に立ってしまう性格なんだと思う。
それが少しストレスでもあった。
どうやら私は、入院に向いていないらしい…
当時の日記を改めて読み返してみると、「あー、私ってやっぱり人に甘えるのが苦手なんだな…」って、ちょっと笑ってしまった。
でも、たくさんの人の支えがあって、無事に過ごせた入院生活。
甘え上手な方が、入院生活も人生も上手くいくのかもしれませんね。
病院関係者の皆さまに感謝しつつ、でも、できれば二度と入院したくない…(笑)
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