シェーグレン症候群|10年経って感じた体の変化と向き合い方

闘病日記

実は私、自己免疫性肝炎の診断を受けた約10年前に、「シェーグレン症候群」という病気の診断を受けていました。
今回は記憶をたどりながら、その頃のことを書いてみたいと思います。


小学生の頃からあった違和感

思い返すと、小学生の頃から、光がとてもまぶしく感じることが多かったように思います。
目をつむっても、まぶたの奥やこめかみのあたりに違和感があり、ギュッと押さえると少し落ち着く感覚がありました。
タオルを細く折って目に当てて、目隠しのようにキツく縛って圧をかけていたこともよく覚えています。

その時は深く考えていませんでしたが、今思えば、これもシェーグレン症候群と何か関係があったのかもしれません。もちろん、確証はありませんが…。


20代後半:目の乾き

20代の終わり頃から、コンタクトレンズをつけると目が乾いて痛むようになりました。
数時間で限界になり、頻繁に目薬をさしたり、途中で外したり。
30代後半には、乾燥がひどくなり、つけることさえできず、完全にメガネ生活になりました。


40歳頃:口の乾きが始まる

40歳を過ぎた頃には、目の乾燥に加えて、朝起きると口の中がからっからに乾いていることに気づきました。
舌もひび割れ、まるで砂漠のよう。
「体調が悪いのかな」「今日は乾燥しているからかな」
そんなふうに、その場しのぎの理由をつけてやり過ごしていました。

当時は「シェーグレン症候群」という病気の存在さえ知らず、自分の中の異変を“たいしたことない”と見逃していたのです。


耳下腺の腫れがきっかけで

ある朝、右の耳下腺が腫れ、おたふく風邪のように顔が膨らんでしまいました。
触ると固く、心配になって耳鼻科を受診。
原因は分からず「しばらく薬で様子を見ましょう」と言われたのですが、診察が終わる間際、先生がポツリと
「シェーグレン症候群という病気もあるけどね、まあ違うでしょう…」
とつぶやいたのです。

“シェーグレン症候群…?”
初めて聞く名前に戸惑いましたが、「違うでしょう」と言われたので、あまり気に留めませんでした。

それからしばらくして別の病院で血液検査をした際、「シェーグレン症候群の検査もお願いできますか?」と頼んでみると、
医師は「珍しい病気だから、たぶん違うと思うけど」と言いながら検査をしてくれました。

結果は“まさかの陽性”。
検査数値は基準値を100倍以上も上回っていました。


シェーグレン症候群と診断されて

「シェーグレン症候群陽性です」と告げられた時、ショックというよりも“びっくり”でした。
「えー、そうなんだ、私、難病なんだ」と、どこか他人事のように感じたのを覚えています。

私の場合、症状は目と口の乾きだけ。
目薬をさせば少し楽になるし、水を飲めば口も潤う。
そう思っていたので、「まあ、なんとかなる」と軽く考えていました。

ご飯の時は唾液の代わりに水を飲みながら食べるのが当たり前になりました。
少々不便ではありますが、それで日常生活が送れるのなら問題ないと思っていたのです。


その後の通院とケア

歯科口腔外科

歯科口腔外科を受診し、「シェーグレン症候群です」と伝えると、定期的なメンテナンスを勧められました。
唾液が少ないと虫歯になりやすいため、2〜3ヶ月に一度、歯石除去やチェックを受けています。

唾液のありがたさを実感したのは、この病気になってからです。
食事の時は一口ごとに水を飲み、試食を勧められることなども苦手になりました。
自然と飲む水の量が増えるため、トイレも近くなり、外出時には常にトイレの場所を意識して過ごしています。

食後はすぐに歯を磨かないと、虫歯への不安や口の乾きが気になって落ち着きません。
なるべく口にする回数を減らし、少しでもリスクを減らすよう心がけています。

眼科

眼科では涙量の検査を受けましたが、結果は「0(ゼロ)」。
私の目には涙がほとんど出ません。
悲しくても涙が流れず、まわりが泣いている時に自分だけ泣けないのは、正直つらいものです。
「冷たい人」と思われていないかな、と不安になることもあります。

そのほか、左目の眼圧が高く、将来的に緑内障のリスクがあるとも言われました。
今は予防のために点眼を続け、一年に一回視野が狭まっていないかの検査を受けています。

日常的にはヒアレインミニ点眼液を一日三回ほど使用していますが、効果は一時的。
焼け石に水のようで、15分もすればまた乾燥してしまいます。
とくに朝と夜は目を開けるのがつらいほどです。


症状の波とこれから

ここ数年は、目や口の乾きに加えて、全身にもさまざまな症状が出るようになりました。
朝起きられないほどのだるさや、手足のしびれ、頭痛などが続く日もあります。

それがシェーグレン症候群によるものなのか、自己免疫性肝炎や慢性甲状腺炎、更年期、あるいは単なる疲労なのか…
自分でも区別がつかないことが多いです。

最近は特に手足のしびれが強くなり、神経内科を受診しました。
いくつかの検査の結果、「シェーグレン症候群による末梢神経障害(ニューロパチー)」の可能性が高いと言われました。

自己免疫性肝炎の影に隠れて、長い間“軽い症状”だと思っていたシェーグレン症候群。
どうやら、静かに私の体に影響を与え始めているようです。


おわりに

シェーグレン症候群と診断されて10年。
不便なことはたくさんありますが、自分の体と心と向き合いながら、なんとか日々を送っています。
病気ともうまく付き合いながら、これからも私らしいリズムで生きていこうと思います。
そして、できるだけ長い間、働いていけますように。